なるべくなら短い頻度で染めた方が白髪は目立たないのですが、頭皮や髪へのダメージを考えると期間を空けた方が良いと思います。では、どのくらいのスパンを空ければ良いのでしょうか?
この疑問に答えるにはあまりにも個人差がありすぎるため一概には言えないのですが、一般的には1か月から1か月半が目安になってきます。
人間の髪は1か月の間に約1 ~ 1.5cm伸びると言われています。実際にお客様を担当させてもらっていても、これぐらいの髪の伸びが確認できます。
白髪も当然同じように伸びてきてしまいます。
実際のお客様の声を聞くと、伸びの速い方で2週間、普通の方で3週間たったころに気になり始め、4週間たったころに限界を感じ、染めに来られる方が多いように感じます。
もちろん、もともと白髪が少なかったり、目立たない場所に生えている場合にはもっと長い期間空けることができます。そういう方でも、2か月から2か月半ぐらいが目安になっています。
普通の白髪染めの薬剤で2週間に一回染めるのはお勧めできませんが、きちんと家でもホームケアができていれば、1か月に一回のカラーリングでも頭皮や髪へのダメージは最小限に抑える事ができるでしょう。
逆に、ホームケアがきちんとできていないと、長いスパンを空けていても頭皮や髪は損傷し続けてしまいます。
カラー剤の種類による頻度の違い
弱アルカリカラー
白髪染めと言えば、一般的に多いのがアルカリカラーです。アルカリカラーとは、今、ドラッグストアなどに一番種類が置いてあるものです。
2つの薬剤が別々になっていて、1剤にアルカリ剤、2剤に過酸化水素を使用しており、混ぜ合わせることで化学反応(酸化重合)を起こして、明るくしながら色味(ブラウン、ナチュラル、アッシュ、ピンクなど)を髪の内部に定着させていきます。
棚に何列にも並んでいて、いくつものメーカーの物が置いてあり、とても一度見ただけではどのカラー剤が自分にあった良いモノなのか判断できません。
明るくするほどアルカリ濃度が高くなり、髪や頭皮を損傷させる確率が高くなります。弱アルカリのカラー剤もあるのですが、キューティクルを開く力が弱くなり、明るくする力も弱まってしまいます。
髪が太かったり、キューティクルが丈夫な髪質では思ったように明るくできない場合も出てくるでしょう。
通常は新生毛(新しく生えてきて、カラーやパーマをしていない髪)にはアルカリカラー、既染毛(一度以上カラーリングをしている髪)には弱アルカリカラーを使用するのがお勧めです。
とはいえ白髪を染めるためにはある程度のアルカリ濃度が必要です。
白髪の方が黒い髪の毛よりもキューティクルの層が厚く、薬剤が浸透しにくいのです。
そのため明るく染めたいわけではなくても、どうしても白髪染めのアルカリ濃度はファッションカラーと比べて同じ明るさを求める場合でも強くなってしまいます。
最近では白髪染めでもアルカリの濃度を調整して最小限のダメージで染められるものもありますが、どうしても0.5トーンから1トーンほどは暗く染まり上がってしまいます。
ヘアマニュキュア
白髪の割合が少ない場合にはヘアマニキュアを使った染め方も有効です。
メリットとしては酸化重合を行わないので、アルカリ剤も含までませんし、アルカリカラーよりもキューティクルを開かないのでその後の損傷も少なくて済みます。
しかし、ヘアマニキュアの明るさをしっかりと見極めて調整しないと、地毛との明るさの差が出てしまい、馴染むだけで白髪の部分ははっきりと見えてしまう場合もあるので注意が必要です。
そしてヘアマニキュアは頭皮や肌に少しでも付いてしまうとなかなか落とすことができません。専用のリムーバーが必要になります。
ですので、どうしても頭皮から3ミリから5ミリは間を空けて染めないといけないので、どうしても伸びてくるのが早く感じてしまいます。
美容師によっては本当にギリギリまで責められる技術を持っている人もいるので、相談してみて、できそうであればなるべく地肌ギリギリから染めてもらうようにするのも一つの方法です。
アルカリカラーでは頭皮にかゆみが出てしまったり、元々髪が細くダメージが出やすい人にとってはかなりメリットの大きいカラー剤でしょう。
とは言え、厳密には色を定着させるためにわずかながらアルコールを用いているので、あまり頻繁に繰り返しすぎると髪が細くなってしまうというデメリットもあります。
最近では白髪染め専用のヘアマニキュアもあり、白髪が染まりやすい、色持ちがいいということをうたっているヘアマニキュアもあります。
前に書いたように、ダメージの大きい毛先の部分があったり、もともとダメージが出やすい髪質の方には一つの選択肢として考えてみてもいいかもしれません。
ヘアマニキュアは頭皮につけるわけではないので、ある程度アルカリカラーよりも染める頻度を速くしても頭皮へのダメージはありませんが、 髪のダメージが全くないわけではないので、一か月のほどの期間はとった方が良いでしょう。
一般的にはヘアマニキュアの色のもちは2週間ほどと言われてきました。
しかしながら、希望とする明るさの色よりも少し暗めに染めることで色素を深く入れ、もっと色の持ちを良くすることもできます。
最初は少し暗く感じるかもしれませんが、だんだんと色が落ちてきたころに安定し抜けにくくなるので、美容師と相談して色味や明るさを調整することをお勧めします。
ヘナカラー、香草カラー
一言にヘナカラーと言っても様々な種類があります。
100%ヘナなどの草木を原料にし化学的な色素を全く使わないものもあれば、人工的にアルカリカラーに使われる色素と同じものを混ぜて、染まり具合をよくしたものもあります。
化学的な色素を全く使わない100%自然由来のヘナカラーの場合、しっかりと白髪を染めるには一般的に1時間ほど時間が必要になります。
しかも、その間40°以上の熱を加えながら時間を置くことが必要とされます。
そのため100%自然由来のヘナカラーはなかなか美容室で扱われることが少なくなってしまいました。
もちろん扱っているところもあると思いますが、ほとんどの場合わずかながら化学的な色素を用いたヘナカラーを使用する美容室が多いと思います。
ここで注意しなければならないのは、いくらヘナカラーとうたっていても化学的な色素を用いたものだった場合です。
一度アルカリカラーでアレルギー反応を起こしたことがある人は、この共通して含まれるジアミン系の色素にアレルギー反応を起こしている場合が多いのです。
更に、純粋なヘナにアレルギー反応を起こす場合もあります。
確率的にはかなり低いのですが、ヘナにアレルギーを起こした場合はウルシかぶれのようにすぐに反応が出て、一般的なアルカリカラーのアレルギー反応よりも強い反応起こす場合がほとんどです。
いくらヘナカラーは自然由来で安全とはいえ、全くリスクがないわけではないのでアルカリカラー同様にきちんとパッチテストをする必要があります。
香草カラーというのはヘナカラーの中の一つの商品名です。
このメーカーは科学的な色素も用いているのですが、アレルギー反応の原因となるアレルゲンとして指定されていない化学染料を用いることで、リスクを回避しながら染まりやすさと明るさを実現しています。
今のところヘナカラーとしては一番安定してリスクの少ない、それでいて希望の色を出しやすい薬剤と言えるでしょう。
もちろん黒い髪を明るくすることはできませんが、白髪の割合が50%以上の場合はある程度多彩な色を表現できるので、白髪が多くなってきてしっかりは染めたいが、おしゃれも楽しみたいという方にはかなりおすすめな薬剤です。
まだ扱っている美容室は少ないと思いますが、今後本格的にアルカリカラーのリスクを皆さんが感じるようになってきた時には主流になってくるかもしれません。