ほとんどの人にとって高級アルコール系の洗浄成分を多く含む シャンプー を使い続けることは髪にも頭皮にもよくありません。下の表にある他の成分も洗浄成分である以上、皮膚や髪にまったく悪影響がないわけではありませんがその度合いはくらべものになりません。洗浄成分は シャンプー の構成成分の30~40%を占めています。
さらにシリコンは入っていても1%未満なので、実はそれほど悪影響はありません。
以前、市販のシャンプーの中には高級アルコール系の洗浄成分を使用しながら、ダメージ毛にも対応できるようにコンディショニング成分や保護成分を多く入れていたものがありました。
そのことで髪や頭皮に被膜がはられてしまい、美容室でカラーリングやパーマの薬剤をはじいてしまうという現象が起こったのです。
良い シャンプー ? 結論からいうと・・・
シリコン自体は確かに悪いものではありません。
しかし、少し含有量が多くなるだけで髪の質感はかなり重くなってしまいます。
下の円グラフにあるように9割以上は水と界面活性剤なのですが、シリコンは1%未満です。
このバランスを取らないとシャンプーとしてなかなか成立しません。
ではどの成分が一番、影響が強いのでしょうか?
水は精製水です。
そう、見ての通りシャンプーの質に深く関わってくるのは界面活性剤なのです。
少し前まではノンシリコンシャンプーであることを第一条件のように言われていましたが、本当はよごれを落とす成分、泡立ちに関係する成分を意識して選ぶことが必要だったのです。
ラウリル硫酸ナトリウムはタンパク質の非共有結合を分離させ、分子の高次構造を失わせる(これは変性と呼ばれる)。 ウィキペディア日本語版より引用
髪質はもちろんのこと、頭皮環境やダメージの有無によっても必要とされる洗浄成分は異なります。
じつは、頭皮や髪に悪いとされる高級アルコール系の洗浄成分も場合によっては必要なことがありますし、アミノ酸系の洗浄成分でも適さないケースもあります。
表の下から、さまざまなケースを検証していきます。
※DEA=ジエタノールアミン・TEA=トリエタノールアミン
成分の名称 | メリット | デメリット | |
高級アルコール系 |
ラウリル硫酸ナトリウム ラウリル硫酸カリウム ラウレス-5硫酸ナトリウム ラウリル硫酸TEA ラウレス硫酸TEA オレフィンスルホン酸ナトリウム |
洗浄力が高く泡立ちもよい。 原価が安い。 |
洗浄力が高すぎるために皮脂を取りすぎる。 たんぱく変性を起こす。 シミの原因になる。
|
アミノ酸系 |
ココイルグルタミン酸TEA ラウロイルサルコシンTEA ラウロイルアスパラギン酸Na ココイルアラニンNa |
肌や頭皮と同じ弱酸性なのでダメージが出にくい。 原価が高い。 |
泡立ちが悪い。 しっかりすすがないと肌のトラブルを引き起こす可能性がある。 |
石鹸系 |
ラウリン酸ナトリウム オレイン酸ナトリウム ステアリン酸ナトリウム |
洗浄力がある。 安全性が高い。 |
PHが高い。(アルカリ性) 髪を硬くしてしまう。 |
ベタイン系 両性イオン系(両性界面活性剤) |
コカミドプロビルベタイン ラウロイルプロビルスベタイン ココアンホ酢酸 |
保湿効果が高い。 アミノ酸系よりも泡立ちが良い。 酸やアルカリを中和してくれる。 目などに対する刺激も弱い。 |
単独では洗浄力弱い。 |
タウリン系 |
ココイルメチルタウリンNa ラウロイルメチルタウリンNa ココイルメチルタウリンNa |
泡立ちが良い。 洗浄力が高い。 肌に優しい。 |
使い続けると髪の質感が重くなる。 |
たんぱく質系 |
ココイル加水分解コラーゲンNa ラウロイルシルクアミノ酸Na ラウロイルシルクアミノ酸K |
洗浄力が高い。 刺激が少ない。 洗いあがりが柔らかい質感になる。 |
泡立ちが悪い。
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カラーリングやパーマの繰り返しでダメージがある髪
定期的な白髪染めやカラーリング、パーマなどでダメージがある場合には、間違いなくアミノ酸系かベタイン系の界面活性剤を使用したシャンプーを使用したほうがよいでしょう。
カラーリングは、洗浄力が強すぎたりアルカリ性だったりすると色味がとれてしまい、キューティクルがひらいてしまいます。
いくらそのあとにコンディショナーやトリートメントをしても一度落ちてしまった色味はもどりません。
パーマの場合もアルカリ性を示すシャンプーではカールが弱くなりやすいのです。
(パーマは1液で髪をアルカリ性にしてかけるため。)
また、シャンプーの洗浄力が強すぎると必要な水分や油分を取りすぎてしまい、髪は乾燥しやすくなってキレイにスタイリングできなくなります。
カラーリングやパーマのもちを良くしたり、デザイン性を高めるためにもシャンプーの洗浄力は重要です。
健康毛の場合
健康毛の場合、洗浄力が弱いと汚れや油分をしっかりと落としきれず頭皮のトラブルを引き起こす可能性がでてきます。
もともと頭皮が乾燥しやすい人は洗浄力の弱いアミノ酸系やベタイン系を使用することが望ましいと思いますが、皮脂の分泌が多くて頭皮がベタつきやすいひとは高級アルコール系や石鹸系を使用するほうが良いでしょう。
確かに、高級アルコール系の界面活性剤は一般的にあまり良い印象はありませんが、整髪料や皮脂などの油分をしっかり落としたい場合には必要になります。
整髪料や皮脂がよく落ち切らずにそのまま髪や頭皮に残ってしまうと、抜け毛や臭い、ヒドイときには脂漏性湿疹や炎症を引き起こすこともあるので必要に応じて洗浄力の強いシャンプーを使うことも必要なのです。
2WAYシャンプーのすすめ
ここからは持論なのですが、シャンプーは使い分けると良いのではないかと思っています。
いくらアミノ酸系やベタイン系、タウリン系やたんぱく質系の洗浄成分が良いからと言っても、コスト的な理由で使い続けることが難しい場合もあると思います。
そして、タウリン系の界面活性剤のデメリットにもあるように使い続けることで起こる弊害もあります。(髪の質感が重くなる。)
タウリン系だけにかかわらず、洗浄力が弱いと油分が落としきれずに髪がベタついて重くなることはめずらしい事ではありません。
さらにトリートメントをすることで、余計に質感の重さが助長されてしまうことさえあります。
このように保湿を重視しすぎて油分を落とし切れず、髪や頭皮の質感がベタついてしまったらどうすればよいのでしょうか?
答えは一つしかありません。
洗浄力のある高級アルコール系・石鹸系の界面活性剤を用いて、一度しっかりとすべての油分を取り除いてあげることが有効なのです。
そして、髪や頭皮に蓄積してしまった油分や汚れ、コンディショニング成分や保護成分を一度キレイさっぱり落としてあげて、それからまた洗浄力の弱いシャンプーを使用すればよいと思います。
どんなに良いとされるシャンプーでも使いすぎると思わぬ弊害が起こることがあります。
基本的に使うシャンプーは頭皮や髪の保護・保湿を第一に考えたもので良いと思います。(アミノ酸系やベタイン系)
しかし、質感が重くなってきたり、頭皮にかゆみなどが出てきた場合には一度洗浄力の強いシャンプーでリセットして素髪の状態にもどしてあげることも必要なのです。
もちろん、1つのシャンプーでこの2つの作用をもち、同時に目的を達成できるシャンプーがあれば何も問題はありません。
しかし現状では、洗浄力の強さと保湿力・保護力は相反する関係にあります。
洗浄力が強ければ油分をしっかりと洗い流してしまうので、保湿力・保護力は低下してしまいます。
そうかと言って、保湿力・保護力を重視すると洗浄力を弱くせざるを得ません。
たとえ、そういったシャンプーが存在したとしても、髪のダメージの度合いや体のバイオリズムによって求められる洗浄力は変化していきます。
そのときに自分の現状の髪の状態に合わせて、シャンプーを選ぶことができたならより理想の状態に近づけることができます。
もし、どうしてもシャンプーの特徴が分からないときは美容師に相談すると教えてくれます。
できれば、カラーリングやパーマの直後から2週間ほど使用するシャンプーと、日常的に使うシャンプーの2種類を用意しておくことが理想です。