白髪染めを頻繁に繰り返すとどうしても、髪や頭皮に対する影響が心配になります。
実際、美容室などで行う白髪染めは頭皮や髪にどんな影響をもたらしているのでしょうか?
まずは、その二つの違いについて考えていきましょう。
普通のカラーリングと白髪染めの違い
まず一つには染め方が違います。
基本的に、普通のカラーリングは頭皮に薬剤をつけないように塗布していきますが、白髪染めは、なるべく伸びてきた白髪の部分が目立たないように、そしてしっかりと染まりやすいように地肌に溜めながら塗布することが多いです。
白髪染めの方が、直接頭皮に触れてしまう分、頭皮の影響が心配になります。
そして二つ目に、同じ明るさの薬剤でも白髪染めの方が、普通のカラー剤に比べて黒く染めるための色素の量が多く含まれています。
これは白髪の部分をしっかり染めるために、より多くの色素を含まないと白髪が染まらないからです。
カラー剤の染まる仕組みとして、よく酸化重合という言葉が使われます。
これは元々ある黒い髪を明るくしていく作用と、アッシュ系やピンク系と言った色素を髪の毛に定着させていく作用が、同時に行われていくものです。
もしどちらかの作用しかなかったら、ブリーチ作用だけでは色味を表現できませんし、色素を定着させる作用しかなかったら、元の髪が黒髪の場合、ほとんど明るさは変わらず色素も鮮やかに表現できなくなってしまいます。
基本的に普通のカラーも白髪染めもこの仕組みは変わりません。
ただブリーチ作用が強かったり弱かったり、先ほど言った色素の量が変わってきます。
よく白髪染めの方がダメージが出やすいと思われがちですが、カラー剤の種類や染め方、求める明るさや色味によってもダメージの強さは変わってくるので、一概にどちらの方が痛みやすいとは言えません。
そして一番の違いといえば明るくできる程度が白髪染めの方が低いということです。
一度のカラーリングで求められる明るさというのは、白髪染めの場合8レベルから9レベルが最高の明るさになります。
もちろん白髪の多い部分は明るく染まりやすいですし、黒髪の部分は暗く染まりやすいです。
普通のカラーリングと同じように髪質や体温によっても多少の誤差はありますが、 白髪染めの薬剤の方が黒く染める色素が多く入っている分、どうしても明るくするには限界があります。
白髪は染めたい!!でも、髪や地肌にはなるべく負担はかけたくない。
確かに白髪染め自体をしなければ、地肌や髪への負担を心配する必要はありません。
しかし、一度染め始めてしまった人が急に白髪染めをやめてしまうことは容易なことではありません。
若いころから染めていた方にとっては尚更でしょう。
そう、皆さんできれば、白髪染めはしたくないのです。
いずれは白髪染めを卒業して、ショートヘアで綺麗なシルバーグレーを目指したいという方が多くいらっしゃいます。
そのためになるべく頭皮を守って、ハリコシのある髪の毛と健康な地肌を保っていかなければなりません。
では具体的に現場どうやって地肌を守りながら、白髪を染めていけば良いのでしょうか?
もし、まだ白髪の割合が全体の髪の量の10%未満でほとんど黒髪という方は、場合によっては普通のカラーリングで対応できるでしょう。
この段階では、染める頻度も長いのでまだ問題はありません。
しかし、30%から50%になってくるとそうはいきません。
普通のカラーリングでも白髪以外の黒髪は明るくなりますが、どうしても白髪の部分に色味が入ってくれず、白く浮いて見えてしまいます。
全く染まらないわけではないのですが、シャンプーをしていくうちにまた白髪に戻ってしまったり、周りの黒い髪の毛との明るさの差がありすぎて目立ってしまうのです。
根本の方が一ケ月もすると1.0㎝ ~ 1.5cmほど伸びてきて、顔周りや分け目がかなり気になってきます。
髪の毛の伸びるのが速い人だと、3週間 ~ 一ケ月で染めなくていけなくなります。
逆に白髪の割合の方が80%以上と多くなった場合には、話が変わってきます。
白髪の中に黒髪がわずかにあるぐらいであれば、マニキュアなどを使用することで好きな明るさに調整できたり、鮮やかな色味で染めることもできるようになります。
ただ、一番期間が長く、悩んでいる人が多いのは30%から50%が白髪として生えてきている場合です。
この場合は、白髪の部分には黒や茶色などの色味をしっかり染める必要があり、黒い髪の部分は明るく脱色しなければなりません。
何気なく染めている白髪染めの薬剤は、この2種類の作用を15分~20分ほどの間にほぼ同時におこなっているのです。
このころは、お仕事をされたり、人に会う機会の多い方がほとんどです。
染める頻度もかなり、高くなるでしょう。
つまり、地肌への負担も大きくなってきます。
もし、暗い色でもいいという方なら、間違いなくヘナカラーや香草カラーといった化学変化(酸化重合)を行わないカラー剤で染めていくことをおすすめします。
これらのカラー剤はほとんど頭皮や髪に負担を掛けません。
稀に、強いアレルギー反応を起こす人もいますが、これは普通のカラー剤でも同じことです。(パッチテストは必ず行いましょう。)
短い頻度で染めてもほとんど問題ありません。
特に香草カラーなどはアレルギーの出にくい化学染料のみを使用しているので、放置時間は短くて済み、しっかり染まってくれます。
酸化重合で染めていくカラー剤の中にも、オーガニックやハーブを使用して刺激や香りを弱くした商品も数多く存在するのですが、上記の物よりはどうしてもダメージがでてしまいます。
特別、明るさにこだわりが無ければ、これらの染料を使用するのが望ましいでしょう。
薬剤選びも大切だけど、家に帰ってからのケアも大切です。
薬剤の選択や、染め方について解説してきましたが、実は家に帰ってから次に美容室に行くまでの期間のケアも頭皮や髪の毛にとっては重要です。
白髪染めのカラー剤(酸化重合)を使って、染めていくと頭皮や髪の毛にはどんな変化や影響が出るのでしょうか?
ここでは、一般的に白髪染め用の薬剤に一番多く使用されている二剤式のカラー剤に着目してみます。
皆さんも、経験のある方は多いと思いますが、カラー剤は二つの薬液を混ぜて使用します。
1剤と呼ばれる方には、主に髪の毛のキューティクルを柔らかくし、薬液が浸透しやすくするためのアルカリ剤と、色味を表現するための色味(白髪染めの場合、黒や濃い茶色)が含まれています。
2剤のほとんどは過酸化水素水で、メーカーによってはトリートメント成分や香料を入れたりしています。
この二つの薬剤を混ぜることで、化学反応が起こり、髪を染めることができます。
しかし、実は1剤に含まれるアルカリ剤が、後々まで頭皮や髪の毛にダメージを与え続けてしまうのです。
アルカリ剤にはたんぱく質を溶かす作用があります。
適量であれば、角質を取ったり、油分を落としたりと大変便利なものなのですが、皮膚などにつくとなかなか落ちないという欠点があります。
つまり、頭皮や髪の毛に一度つくとしばらくの間、ダメージを与え続けてしまうことになり、結果、頭皮にかゆみや炎症反応が出たり、だんだんと髪がパサついてきたりしてしまうのです。
カラー剤によってはこのアルカリ剤を極力少なくしているものもありますが、少なからず反応は出てしまいます。
では、どうしたらよいのでしょうか?
一つには、カラーリングをした直後に、アルカリ剤を除去してくれる薬(アルカリ除去剤)を使う方法です。
髪や頭皮に使うことができ、完全にではありませんがアルカリ剤によるダメージを軽減してくれます。
美容室などで聞けば、ほとんどの場合置いてあると思います。
オプションとして用意してあることがほとんどなので、500円 ~ 1000円ほどで追加できるでしょう。
次に、炭酸泉を使用してアルカリ剤の反応を弱めることもできます。
カラーリングの後のシャンプーの時にシャワー自体に炭酸を溶かしこみ、毛穴に残りがちなアルカリ剤をしっかり取り除けます。
炭酸泉は弱酸性なので、アルカリを中和することもでき、ダブルの効果が期待できます。
そして、一番効果が高く、持続的に効果が出る方法はカラー用のシャンプーとトリートメントを家でも使用し続けることでしょう。
だいたい、一般的なカラー剤で髪を染めた場合、7日 ~ 14日はアルカリが残ってしまうと言われています。
この期間に、一般的なシャンプーやトリートメントを使用してしまうと、髪や頭皮が一番安定する弱酸性の状態にもどりにくくなり、悪影響を及ぼし続けてしまいます。
カラーリングの後はなるべく早くアルカリ剤による悪影響を除去してあげて、髪や頭皮を弱酸性の状態に戻してあげることが重要なのです。