美容院の白髪染めがすぐに色落ちする理由

『せっかく美容室で白髪染めしたのに、すぐに色落ちしてしまった・・・。』

理由には、以下のようなことがあげられます。

  • カラー剤の質が良くない。
  • 使う薬剤の量が少ない。
  • 選んだ色が明るすぎる。
  • 放置時間が短すぎる。
  • シャンプーが上手くできていない。

カラー剤の質が良くない

さすがに、「カラー剤の質など関係ない!技術力だ!!」なんていう美容師はもういないでしょう。

もちろん、技術力も必要ですが、それは「あって当たり前」です。

というよりも、昔よりも美容師一人一人の技術はかなり高くなっていると思います。

今の時代、「流行りだから美容師になった。」という人もいません。

本当に本気で取り組んでいる人しか続けていないでしょうし、この世界で頑張っていこうという若者しか入ってきません。

つまり、カラー剤の品質という要素も重要なものになってきているのです。

 

もちろん利益など考えずに、最高の品質の材料を低価格でお客様に提供できたら、本望です。

「お客様により良いサービスを提供したい!」という気持ちは、美容師ならだれもが持っています。

高品質で低価格のカラー剤があれば、どこの美容院もそれを使うことでしょう。

しかし、どこの世界でも同じですが、良いものは価格も高いのです。

美容院もビジネスである以上、原価と品質のバランスをとらなくてはなりません。

過剰に値引きをしてしまうと、どうしても材料費を抑えなくてはならなくなります。

働いている美容師は不本意でしょうが、ビジネスとして考えた場合、オーナーにとっては当然の選択です。

大型店やチェーン店の場合、「大量発注で仕入れ値を抑えている」と言っているところもあるようですが、限界がありますし、徹底的なコスト削減をしようとしているのに高品質、高価格帯のカラー剤を使っているとは考えられません。

実際、過去に自分が勤めてきた美容院もほとんどがそうでした。

ただ雇われている身のいち美容師が「もっと品質の良いカラー剤を使いたい!!」という意見を言ったところで「何馬鹿なことを言っているんだ!もっと、売り上げを上げてから言え!!」と、弾かれてしまうのがオチです。

それだけ、会社やオーナーも余裕がないということなのでしょうが・・・。

 

最近では、2000~3000円の白髪染めのメニューなどが主流ですが、どのくらいの品質のカラー剤を使用しているのかなど、容易に想像できると思います。

逆に、市販されている白髪染めの薬剤などは、500円ぐらいの物から、最近では2000円近いものまであります。

市販のカラー剤は、自分で価格帯を選択できます。

自分で染めることが良いとは思いませんが、コストパフォーマンス重視で品質を下げた美容院のそれと比べたら、市販の2000円近くするカラー剤の方が品質は良いと思います。

 

ただし、この後にも書きますが、量の問題もあります。

自分で染める場合、髪の毛の長さや根元の伸び具合など人にもよりますが、キレイに後ろまで染めるには、2パッケージは必要になることでしょう。

2000円近くするカラー剤を2パッケージ買ったら、それだけで4000円近くなってしまうのです。

 

使う薬剤の量が少ない。

チェーン店やカラーリング専門店だけに限りませんが、低価格帯で提供しているカラーリングメニューの場合、どうしてもコストをできるだけ削減しなくてはなりません。

そうすると、カラー剤の品質だけではなく、使用する量も減らすことになります。

もちろん、毛量、長さ、髪質、頭の表面積の大きさなど、さまざまな条件が関係しますが、2センチほどしか伸びていない根本の部分だけでもしっかり染めようとしたら、少なくとも1剤60g、2剤60g、合わせて120gは必要なのです。

これもまた、「技術力があれば、少ない量でも大丈夫!!」なんて言う美容師やオーナーもいると思いますが、あまりにも少ない量では、しっかり染めるには物理的に不可能な場合もあります。

 

基本的には、白髪染めはファッションカラーよりも量を必要とします。

薄くカラー剤が付いただけでは本来の染まり方をしません。

たしかに、希望色よりも暗めのトーンに設定をして、薄塗りをする方法もあるでしょうが、ハリコシのある白髪の場合、薬剤をはじいてしまって染まりません。

 

白髪染めの場合の適切な量というのは、髪の毛がカラー剤でキレイに隠れる量です。

多すぎてもいけませんが、少なすぎてはキレイに染まりません。

 

選んだ色が明るすぎる。

染まりあがりの明るさが暗いほど色が抜けるまでに時間がかかり、明るいほど早く色落ちします。

白髪に染まった色素の量が多い(暗い)方が、色持ちは良いです。

 

当たり前のことですが、白髪染め用のカラー剤は白髪を染めるために開発されています。

もっと言うと、白髪に黒や茶色の色素を入れることで、白髪を染めています。

明るさのレベルで言うと、黒髪が5レベル前後なのに対して、白髪は20レベル以上の明るさになります。(数字が大きい方が明るくなります。)

なるべく明るく白髪を染めるということは、それだけ白髪に入る色素の量が少ないということです。

白髪に入った色素は、紫外線を浴びたり、シャンプーするごとに抜けていきます。

当然、最初に入っている色素の量が少なければ、それだけすぐに「色が抜けた」と感じてしまうでしょう。

現在、一番明るめに白髪を染めようとしたとき、一般的には9レベルの明るさが限界とされています。

それ以上明るくすると薄く色素は入りますが、すぐに抜けてしまうし、白髪以外の黒髪と比べたとき、白髪の部分が明るすぎて目立ってしまいます。

もちろん、一度全体をブリーチなどで脱色してから、薄く色素をのせれば、より明るく白髪染めをすることもできす。

しかし、毎回ブリーチなどで脱色してから染めるなど、現実的にはあまりオススメできません。

色落ちが早いと感じている場合は、希望の明るさを少し暗くすると良いでしょう。

 

放置時間が短すぎる

カラー剤にもよりますが、通常のアルカリカラー剤の場合、おおよそ 20 ~ 30 分が目安となります。

基本的には 20 ~ 25 分ほど放置してから、コーミングなどで空気をふくませて 5 ~ 10 分ほど置いてシャンプーします。

たしかに、放置する時間が短いほど髪や頭皮へのダメージは少なくなります。

でも、色落ちが早いと感じている場合には、5 分単位で放置する時間をのばしてみても良いと思います。

あまり長くし過ぎると、髪や頭皮への影響も心配ですが、あまりにも色落ちが早い場合には、まずは少しだけ時間を多めに置いてみましょう。

逆にホームカラーだと、「1時間くらい置いている」なんて声も聞きますが、使用方法に書いてある時間以内にしましょう。

なぜならダメージが出ることで、反対に色持ちが悪くなってしまうケースもあるからです。

なかなか、美容院で「長めに置いてください」とは言いにくいかもしれませんが、「いつも白髪が早く目立ってくる」などど伝えると、調整してもらえると思います。

 

シャンプーが上手くできていない。

これはシャンプーをしてくれる美容師側の問題です。

家に帰ってから自分でするシャンプーも重要ですが、白髪染めをした直後のシャンプー、つまり、カラー剤を洗い流すためのシャンプーです。

さまざまな要因がありますが、一番色落ちしてしまうのは、洗いすぎです。

とくに、リタッチなどは根本のほうを染めているので、頭皮を強くこすられ過ぎると、摩擦でダメージを受けてしまいます。

当然、カラー剤が頭皮や髪の毛に残ってしまうことは、一番避けなくてはいけないことなのですが、最近ではあまり強く洗いすぎることも頭皮や髪の毛にとっては良くない事とされています。

とくにカラー剤をしっかり落とそうとするあまり、高濃度の炭酸泉や洗浄力の強いシャンプーで洗ってしまうと、そのぶん色素が落ちてしまいます。

逆に、洗いが足りなくて、髪の毛についたカラー剤のアルカリ成分が除去できていないと、キューティクルが膨潤して開いたままになったり、ダメージを受けて色落ちを早めてしまうことがあります。

この加減がキチンとできないと、色落ちを早めてしまうことがあるのです。

 

まとめ

今回はせっかく美容院で白髪染めをしたのに、色落ちが早くなってしまう原因を書いてみました。

このなかでも一番原因となりやすいのが、使う薬剤の量でしょう。

最近は低価格帯のカラーリングメニューが多くなってきています。

しかし、カラー剤の仕入れ値は価格を下げるどころか、どんどん最新のカラー剤が開発されて安くなることはありません。

すると、美容院もなるべく使用するカラー剤を節約します。

この節約自体は決して悪いことではありませんが、仕上がりに影響するほど使用量を減らすのはいただけません。

いつも、染まりが薄かったり、色落ちが早い場合には担当の美容師に相談するか、適切な価格と染まり具合を調整して、美容院を選ぶ必要もあるかもしれません。