縮毛矯正 は、クセをのばしてくれますが同時にダメージも大きく出ますし、ボリュームも取ってしまいます。
もともと髪にダメージの出やすい人や髪の毛の量の少ない人、年齢とともに傷みやすくなったり、毛量が減少してきた人などでクセが気になる場合、簡単に縮毛矯正を行うという選択はおすすめ出来ません。
特に前髪や顔周りなどはその傾向が強く、ほかの部分の髪の毛に比べて髪は細いのにクセが強く出てしまうことが多いのです。
単純にクセが伸びるのだからダメージも出るし、ボリュームも無くなってしまうのは仕方のないことだと、割り切ってしまうことは簡単ですが何か解決策は無いのでしょうか?
まずは、どうして縮毛矯正をかけてしまうと髪のダメージが出て、ボリュームが無くなってしまうのか?
その理由や原因を検証していきたいと思います。
なるべくダメージを出さずに、ボリュームを残しながら縮毛矯正をかけるには?
縮毛矯正を掛ける上で、なるべくボリュームを残しながらクセをのばすには5つの方法があります。
1 部分的にかける
もし全体的にクセがあるのではなくて、前髪だけとかサイドの部分だけにクセがある場合には部分的に縮毛矯正をかける方法もあります。
美容室によっては価格を安く設定している場合もあるので聞いてみると良いでしょう。
ダメージもその部部ににだけ限定できるので、全体的にかけるよりも少なくて済みます。
ただし、部分的にダメージのレベルも変わってしまうので、注意が必要です。
一度、顔周りや、前髪だけと決めたら、しばらくは同じ場所だけにかけた方が良いでしょう。
2 頭頂部の根本にはかけない
この方法も部分的にかける方法に似ているのですが、クセの気になる部分の方が多い場合に有効です。
一番ボリュームが少ないと気になってしまうのが頭頂部です。
トップの髪の毛がペチャンコになってしまうと若々しさも失われてしまいがちです。
つむじ付近や分け目あたりの髪の毛の根本2~3cmには、薬剤をつけないようにしてかけることでボリューム感を残せます。
内側の髪の毛にクセが強い場合にはとても有効です。
3 すべて根本は2~3cm空けてかける
もともと髪の量が少ない場合には、根本を通常より多めに空けてかけることがオススメです。
加齢とともに薄毛になってしまった人は、頭頂部が薄くてバックやサイドは毛量が多く残っている場合がほとんどです。
こういった人は全体的に2~3cm空けてしまうと、バックやサイドの髪のクセやボリュームが残りすぎてしまい、トップがつぶれて見えてしまいます。
しかし、もともとの髪の量が少ない人はバックやサイドの髪の量も少ない場合が多いので、全体的に2~3cm空けてかけてあげると、ほどよいボリューム感を残すことができます。
根本が立ち上がることによって、毛先が内巻きに入りやすくもなるので一石二鳥です。
4 ストレートアイロンで髪の毛をつぶさないようにする
この方法は美容師の力加減に依存するしかないのですが、1液をつけて流してドライした後にストレートアイロンで熱処理を加えていくときに、なるべくはさむ力を弱くすることで必要以上に髪の毛一本一本をつぶさないようにするといった方法です。
あまり弱すぎるとクセが伸びにくくなってしまいますし、強すぎれば髪の毛のボリュームを取りすぎてしまい、ダメージも大きくなります。
また、そのときに髪にかけるテンションも関係してくるので熟練した技術と経験がないと少し難しい方法かもしれません。
しかし、その効果はダメージに大きく関係してくるので、縮毛矯正をかける上でかなり重要なファクターになります。
5 強すぎる薬剤を使わない
当たり前のことのように感じますが、意外にできていないことが多いです。
特にクセの強い場合、美容師側は一度でしっかりとクセをのばしたいと考えます。
そのため、どうしても少し強め薬剤を選定し、放置する時間で調整しようとします。
しかし、薬剤が強すぎると塗布している間にもどんどん還元作用が進んでしまい、過還元の状態になってしまいます。
これはボリュームどころかダメージにもつながってしまうので、一番避けなくてはなりません。
特にカラーリングが頻繁だったりする場合には、いくらクセが強くても過還元になってしまいやすいので注意が必要です。
ボリュームを残したいという観点に絞っていえば、弱い薬剤で少しクセが残るぐらいの方が適切なのかもしれません。
カウンセリングの時にクセをしっかり伸ばしたいのか、なるべくダメージを出したくないのか、ボリューム感を残したいのか、ある程度どこに比重を置いてかけるのか入念に相談することをおすすめします。
縮毛矯正のかけ方
簡単に説明すると、まず最初に1液となる薬剤を塗布していきます。
だいたい普通は5~15分間、自然に時間をおいて、ぬるま湯で流します。
この時、髪の毛はとてもデリケートな状態です。
1液のアルカリ剤と還元剤の効果でキューティクルは開いてしまい、髪の毛を形成しているシスティン結合が切れているのです。
この時に無理なテンションでひっぱたり、タオルでゴシゴシ拭いてしまうと、余計なダメージも出てしまいます。
そして、じつはこの時わずかに髪の毛は細くなります。
さらに、この後ドライヤーで乾かしてストレートアイロンをかけていきます。
このストレートアイロンによる施術が一番ボリュームをおとしてしまう原因になるのです。
どうしてもクセをしっかりと伸ばそうとすると、ストレートアイロンでしっかりした圧力でプレスしながらかけていくことになり、円柱状の髪の毛は潰れてしまいボリュームがおちます。
そして、一度つぶれてしまった髪の毛は二度ともとには戻りません。
もちろん、かけ方を工夫することによって、こういった現象を最小限に抑えることも可能です。
しかし、クセをのばすということ自体、どうしても元の状態と比べるとボリュームは無くなってしまうのです。
ストレートアイロンで熱処理のあとは2液をつけて、形状を固定します。
2液には過酸化水素を使うのですが、過酸化水素は髪をしっとりさせる効果があるので、さらにボリュームは出にくくなってしまいます。
もともと、縮毛矯正はクセをのばしボリュームを抑えるように開発されているので、こういった仕上がりになってしまうのは仕方のない事なのかもしれません。
薬液の種類
基本的には1液にチオグリコール酸、2液に過酸化水素を使用します。
1液に使用されているチオグリコール酸は濃度にもよりますが、パーマ液のなかでも一番強い薬剤になります。
pHをアルカリ性にかたむけてキューティクルをしっかり開かせて、システィン結合を切ります。
時間を置きすぎたり、根本のほうに薬剤が溜まってついてしまったりすると、切れ毛や断毛の危険もあります。
それぐらい、強い薬液なので髪の毛へのダメージはもちろん、ボリュームもおちてしまいます。
4つの結合
髪の毛は4つの結合からなっていて、「水素結合」「塩結合(イオン結合)」「システィン(S‐S)結合」「ペプチド結合」があります。
水素結合は髪の毛が水で濡れただけで簡単に切れてしまいますが、乾けばまた元通りになります。
塩結合(イオン結合)はアルカリ性に傾くことで切断され、pH4.5~5.5の弱酸性において安定します。
システィン結合(S-S結合)を1液の還元剤によって切断します。
このシスティン結合が切れたときに髪の毛はかなり柔らかくなります。
それを利用して、ウェーブのパーマもストレートのパーマもかけています。
そして、2液の酸化剤の効果で再結合します。
この時システィン結合はどんなに強い還元剤を使っても、全体の約20%しか切断されないと言われています。
それでも1液のあとはしっかりと酸化剤を作用させて、pHも弱酸性に戻し、完全ドライの状態で仕上げないと余計なダメージがでてしまったり、パーマが取れやすくなってしまいます。
最後にもう一つペプチド結合と呼ばれるものがあります。
髪の毛の中核になる結合です。
この結合が切れると2度ともとには戻りません。
ハイダメージ毛や枝毛は、この結合が切れたことによって起こります。
さすがに一度の施術で、ペプチド結合まで切断されてしまうことはありませんが、何度もカラーリングやパーマ・ストレートパーマと繰り返している髪の毛に強いチオグリコール酸をつけてしまうと、短時間でも切断されてしまうことがあります。
ここまでダメージが出てしまっていると、ボリュームもかなり少なく感じてしまうでしょう。
まとめ
クセをのばしたいという思いと、ボリューム感を出したいという思いは相反するものです。
クセがあった方がボリューム感はありますし、縮毛矯正をかけなければ髪も傷みません。
しかし、上記の5つの方法を意識して縮毛矯正をかけることで、多くの人はその相反する目的を同時に叶えることができるかもしれません。
他にも人によって様々な解決方法が見つかる可能性もあるので、あきらめずによく相談にのってくれる美容師がいれば納得いくまで話してみて、それから縮毛矯正をかけることを強くオススメします。
それぐらい縮毛矯正をかけるということは、望み通りにいかないと取り返しのつかないことになる可能性の高い技術です。
それが故に、クセを取れるということは絶大な美的効果をもたらします。
皆様が髪の悩みの種を一つでも取り除けることを願いつつ今回の記事は締めくくりたいと思います。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
追記
何か頭皮や髪のことで悩んでいることがあれば、コメントでもメールでもお寄せください。
可能な限り記事にしていきたいと思います。