髪質改善トリートメントとはただのネーミングで、まったく新しい技術というわけではありません。
はっきりとした定義がないと言った方が正しいのかもしれませんが・・・。
誤解を恐れず言わせてもらえば、既存のトリートメント成分を補充しながらカラーリングをしたり、パーマをかけたり、ストレートパーマをかけたりします。
いままでのトリートメントは、タンパク質や油分などを疑似的に定着させて質感を向上させるものがほとんどでした。
それは現在も変わりません。
今回、どうしてこんなにも『髪質改善トリートメント』が話題になっているのかというと、一番大きな要因としては『グリオキシル酸』という成分を使ったトリートメントが新しい技術として誕生したことにあります。
そして、この『グリオキシル酸』と『熱』を利用したトリートメント、すなわち『酸熱トリートメント』が好評なことにあります。
ツヤがあってサラサラな髪。
これは、だれもが憧れる究極の美髪と言えるでしょう。
そして、今回のもう一つの大きなキーワードというか、求められることは「クセや広がりを抑えられるのか?」ということです。
パーマスタイルであれば、綺麗なウェーブを出したいところですが、クセによるウェーブはあまりきれいなものではなく、多くの方が「クセをのばしたい!」と考えています。
ツヤとハリコシ(サラサラ感)そして、キレイなストレート。
そのいくつかの要素を持ったトリートメントが、「髪質改善トリートメント」として誕生したのです。
ダメージが大きいほど効果を実感できる?
「髪質改善トリートメント」「酸熱トリートメント」etc. これらのトリートメントはダメージが大きい髪の方が効果が分かりやすくなっています。
当たり前と言えばそうなのですが、特にクセをのばす効果に差が出ます。
単純にクセをのばすだけの目的であれば、縮毛矯正の方が真っ直ぐになります。
ただ、一定以上のハイダメージがあると、縮毛矯正の薬では強すぎてダメージが出てしまう場合もあります。
グリオキシル酸は酸性の薬剤で比較的ダメージを出さず、熱をプラスすることで髪をストレートの状態に固定することができます。
しかも、酸性の薬剤なので2液が必要ありません。そのまま仕上げることができるので、縮毛矯正と比べると時間は短いのですが、トリートメントとしてはかなり長時間の施術になります。
つまり、これまでのストレートパーマや縮毛矯正と違い、健康なシスティン結合を切って、再結合するのではなく、新しい結合を作り出すといったことになります。
そう考えると、ハイダメージでクセが強く出てしまっている場合にはかなり有効ですが、子供の髪やダメージの無いクセ毛にはあまり効果がありません。
エイジング毛であり、それに伴うパサつきやクセ・広がりなどには比較的効果が見込めます。
均一に熱を加えていくことが大切
熱によるダメージも否めないのですが、最終的に180℃前後の熱をすべての髪に与えていくことが必要です。
ここに、技術のムラがあると、キレイになりにくいです。
縮毛矯正や日常でのアイロンにも共通することですが、しっかりと髪が乾いていないとダメージがでてしまいます。
そのため、ツインブラシなどを使って、しっかりと伸ばしながらドライしてあげてからアイロンを入れていくことが大事です。
過剰な熱処理も逆にダメージになってしまうので、薬剤の選定も大切ですが、こういった技術的なことも無視できません。
過剰にキレイな仕上がりの画像や動画に期待しすぎると・・・
先にも書いたように、2液の処理がないので、お店では綺麗にアイロンブローした状態での仕上がりになります。
つまり、家に帰って、一度シャンプーして、自分でドライしてみないと本当の髪の状態は分かりません。
Instagram や Twitter には、とてもきれいな『髪質改善トリートメント』の画像やサラサラな質感の動画があふれていますが、それは、綺麗に美容師がストレートアイロンをかけた後であることを理解しておく必要があります。
とはいえ、正しく施術してあれば、『髪質改善トリートメント』をする前の状態よりも扱いやすく、キレイな髪になることは確実です。
条件が合う髪であれば、挑戦してみる価値はあるでしょう。
それ以外で、なるべくダメージレスにクセを抑えたいときは・・・
そこまでダメージもなく、クセ毛を伸ばしたい場合には、縮毛矯正やシステアミンでクセを緩和する方法がオススメです。
結局のところ、キレイな髪にするために必要な施術は一人一人、髪の状態によって異なります。
万能薬がないように、どんな状態の髪にも有効な薬剤や技術はないことを認識しておく必要があります。
なるべく多くの解決方法を持っている美容師にカウンセリングを受けることが一番たいせつなことかもしれません。